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immuno-oncology drugによるがん薬物治療の新展開②【考慮すべき作用機序と注意すべき有害事象】

No.4901 (2018年03月31日発行) P.53

冨田善彦 (新潟大学泌尿器科教授)

登録日: 2018-04-02

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新規免疫治療薬immuno-oncology drug(I-O drug)のうち免疫チェックポイント阻害薬が,泌尿器科癌を含む各種のがんに対する標準治療となってきた。これらは,腫瘍に対する免疫反応を惹起することで効果を得る点に注意を要する。患者の免疫担当細胞が抗腫瘍免疫反応を起こしうるくらい健全である必要がある。患者の全身状態がきわめて悪く,免疫能も損なわれているような状態では,有用性は期待できない。現在,使用されている免疫チェックポイント阻害薬は抑制性分子を抑制するもので,「車のブレーキを外す」という比喩が用いられるが,エンジンのかからない車のブレーキを外しても車は進まない。使用開始後,急速に進行する症例も報告されており,その一部には上記のような症例が存在する可能性がある。

もう1つ注意すべき点は,I-O drugによる治療法は非特異的免疫療法に分類されることである。つまり,がん細胞に特異的な免疫反応を惹起しているのではない。このことを理解すれば,なぜI-O drugが自己免疫様の有害事象(irAE)を発現するか理解するのは容易であろう。単剤投与では高度なirAEを発現する症例は20%以下で,免疫関連のものはその一部である。しかし,少数例でも重篤なirAEをきたすことがあり,その種類はほぼすべての自己免疫疾患と同様のirAEが起きうる。治療は,ステロイドを中心とする免疫抑制療法で,irAEの見きわめと治療開始のタイミングがきわめて重要になる。I-O drugは革新的な治療薬であることは論を俟たないが,「万能の夢の治療薬」でないこともまた確かである。

【解説】

冨田善彦 新潟大学泌尿器科教授

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