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死後画像検査【死因究明における死後画像検査の意義と問題点】

No.4899 (2018年03月17日発行) P.51

池田知哉 (大阪市立大学法医学)

石川隆紀 (大阪市立大学法医学教授)

登録日: 2018-03-20

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法医学における死後画像検査の有用性は,多岐に及んでいる。近年では,診療関連死に関しても死後画像検査を施行されることが多く,生前画像と比較検討が可能であることから,今後のあらゆる検討への証拠保全としても有用である。これまでに,日本法医学会は「司法解剖標準化指針」において,また警察庁は死因究明制度に関する検討会の中で,画像検査の活用について論じている。

一方,画像所見と肉眼所見との対比がいまだ不十分であり,今後,内・外因死例の明らかな症例においてもCTなどの画像検査を実施し,これと並行して解剖による死因・病態生理を比較し,両者のデータが蓄積されることで,初めて死亡時画像検査を死因究明に応用することに対し,社会的理解を得られるものと考える。死後画像検査は,剖検時に失われてしまう情報,もしくは解剖時,解剖学的に見えづらい所見を描出することにはきわめて優れているが,死後画像検査を標準的な法医解剖と並列にするにはさらなる検討が必要であると考えられる1)2)。そのためには,死因究明制度における解剖体制の中に死亡時画像検査の導入も図られるべきであるとともに,正確な剖検所見を得た上で画像を見直し,比較検討する必要がある2)

医療とは死の判定をもって終わるのではなく,死因を正確に判定し,正しい死亡診断書を発行して終わるものである。死後画像検査はそのためのきわめて有用な手段となりうるものであるが,正確な読解が必要であると考える。

【文献】

1) Thomsen AH, et al:Forensic Sci Int. 2009;183 (1-3):87-90.

2) 池田典昭:福岡医誌. 2010;101(2):27-33.

【解説】

池田知哉*1,石川隆紀*2 *1大阪市立大学法医学 *2同教授

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