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原発性アルドステロン症の診療標準化と成因解析の進展【日本内分泌学会により標準化が図られ,遺伝子変異の同定により病態解析も進展】

No.4899 (2018年03月17日発行) P.49

大嶋洋佑 (慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科)

中村俊文 (慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科)

伊藤 裕 (慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科教授)

登録日: 2018-03-15

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原発性アルドステロン症(PA)は副腎からのアルドステロン分泌過剰により高血圧をきたす内分泌疾患である。アルドステロン産生腺腫(APA),特発性アルドステロン症(IHA)が主たる病型であるが,遺伝性の家族性アルドステロン症(FH 1~3型)もみられる。

PAは本態性高血圧に比較し脳・心血管合併症を増加させることが知られ,血圧コントロールだけでなく,副腎摘出術またはアルドステロン拮抗薬による特異的治療の重要性が示されている。高血圧患者の5~10%を占めるPAを適切に見出すことが重要であり,2009年に日本内分泌学会より診療ガイドラインが出されたが,学会・施設間で異なっていたスクリーニング対象や負荷試験の標準化に向けて,16年に同学会より「わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント」が作成された。一方,16年発表の米国内分泌学会ガイドラインでは,グルココルチコイド奏効性アルドステロン症(GRA)として知られるFH 1型は稀であるものの,FH 2型がPAの7%前後を占めるとする報告をふまえ,スクリーニング対象として「第一度近親者にPA患者を持つ高血圧患者」が追加された点も注目に値する。

また,11年にFH 3型の胚細胞性のKCNJ5遺伝子変異が報告され,これを契機にPAに関連する体細胞性遺伝子変異も次々に同定され,PAの分子病態が明らかとなりつつある。わが国の推計4000万人の高血圧患者に潜むPAに対し,診療の向上に向けた様々な取り組みが現在も進められている。

【解説】

大嶋洋佑*1,中村俊文*1,伊藤 裕*2  *1慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科 *2同教授

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