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高齢者のポリファーマシー対策で厚生労働省が医薬品適正使用指針案―薬効群ごとに薬剤選択等の注意点を周知

No.4899 (2018年03月17日発行) P.14

登録日: 2018-03-12

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高齢者の多剤服用(ポリファーマシー)対策を進めるため、厚生労働省の検討会は9日、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」の案を大筋で取りまとめた。同省は近く指針案に対するパブリックコメントを募集する。

厚労省によると、指針案は「各領域のガイドラインに記載された処方の情報をまとめたガイダンス」という位置づけ。そのため現場の混乱を避けるためにガイドラインという呼び方はせず「指針」にした。

指針の利用を想定しているのは主に医師、歯科医師、薬剤師。ただ、患者の服薬状況や症状の把握と服薬支援の点で、看護師や他職種が参考にすることも期待されるとした。対象としている高齢者に関しては、特に平均的な服用薬剤の種類が増加する75歳以上に重点を置いた。

■薬物有害事象は薬剤数にほぼ比例して増加

指針ではポリファーマシーの定義について、有害事象は薬剤数にほぼ比例して増加するものの、治療に6 種類以上の薬剤が必要な場合もあれば、3種類で問題が起きる場合もあり、本質的にはその中身が重要であると指摘。

薬物投与の留意事項としては、高齢者では薬物の最高血中濃度の増大と体内からの消失の遅延が起こりやすいため、「少量(例えば、1/2~1/3 量)から開始し、効果と有害事象をモニタリングしながら徐々に増量していくことが原則」と明記した。

また、多職種・医療機関と地域が協働する必要性も強調。入退院に際しては、かかりつけ医と連携を取り、処方意図や退院後の方針について確認しながら進めるよう求めている。

■使用上位の販売名も記載

その上で指針では、高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点として、8つの薬効群(①催眠鎮静薬・抗不安薬、②抗うつ薬〔スルピリドを含む〕、③BPSD 治療薬、④高血圧治療薬、⑤糖尿病治療薬、⑥脂質異常症治療薬、⑦抗凝固薬、⑧消化性潰瘍治療薬)ごとに一般名と代表的な販売名を挙げて、高齢者の特性を考慮した薬剤選択、投与量・使用方法、他の薬剤との相互作用に関する注意点を周知している。

例えば、催眠鎮静薬・抗不安薬()については、ベンゾジアゼピン系薬剤(販売名:レンドルミン、ロヒプノール、サイレース、ベンザリン、ネルボンなど)は、高齢者では有害事象が生じやすく、依存を起こす可能性もあることを記載した。

販売名を記載した理由は、かかりつけ医にとって一般名より販売名のほうがなじみがあるため。レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)等を用いて、使用回数が上位3~4位の製品を選んだ。厚労省は、今後一定期間ごとに使用状況に応じて記載する販売名の変更を検討する考えだ。

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