株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

強皮症に合併した間質性肺炎の治療法【CPAで開始し,経口投与では1年後,IVCYでは6カ月後にAZAへスイッチ】

No.4898 (2018年03月10日発行) P.54

佐田憲映 (岡山大学リウマチ膠原病内科准教授)

西岡安彦 (徳島大学大学院医歯薬学研究部呼吸器・膠原病内科学分野教授)

登録日: 2018-03-07

最終更新日: 2018-03-06

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 強皮症に合併した進行性の間質性肺炎についてはシクロホスファミド(CPA)と副腎皮質ステロイドによる治療が標準的な治療と考えますが,十分な治療効果が得られない症例も少なくありません。

    CPAの投与方法(間欠静注・内服),投与期間,および副腎皮質ステロイドの開始量,減量スピード,維持量,間質性肺炎の活動性のモニタリング方法などについて,徳島大学・西岡安彦先生のお考えを聞かせて頂けましたら幸いです。

    【質問者】

    佐田憲映 岡山大学リウマチ膠原病内科准教授



    【回答】

    強皮症に合併した間質性肺炎に対する治療としてエビデンスが報告されている治療薬はCPAとミコフェノール酸モフェチル(MMF)です。

    (1)シクロホスファミド(CPA)

    CPAには無作為化比較試験(RCT)が2つあり,それぞれCPA 1~2mg/kg/日を1年間経口投与する治療法と,低用量ステロイド+CPA 600mg/m2の点滴静注(IVCY)(4週間ごとに6回)を行い,その後,アザチオプリン(AZA)2.5mg/kg/日を経口投与する治療法で,治療開始1年後に評価が行われています。

    前者では有意に%努力性肺活量(FVC)の低下を抑制し,49.3%で改善を示しています(プラセボ群では26.4%)。同時に呼吸困難感とQOLの改善も報告されています。後者のRCTは,やや軽症例に対して行われ有意差はないものの%FVCの改善傾向が認められています。有害事象は,CPA群で血球減少(経口)や嘔気(点滴)が多いものの,いずれの試験でも重篤な有害事象に有意差は認められていません。

    一方で,経口CPAによる試験では1年間の治療終了後も%FVCがさらに改善していく傾向を認めるものの,その1年後(治療開始から2年後)の評価ではプラセボ群のレベルまで再悪化を認めています。CPAは,発癌性,免疫抑制,卵巣機能障害等の有害事象の観点から長期投与が難しい薬剤であり,初期の有効性をいかに維持していくかが今後の課題と言えます。

    残り703文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top