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眼球運動検査の進歩について【眼振の記録方法として赤外線カメラを用いたVOGが一般的になっている】

No.4897 (2018年03月03日発行) P.51

橋本 誠 (山口大学耳鼻咽喉科講師)

山下裕司 (山口大学耳鼻咽喉科教授)

登録日: 2018-03-05

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赤外線フレンツェルはめまい診療において,眼振の発現率が高い,瞳孔の視認性がよく回旋性眼振を観察しやすい,着脱が容易であるため検査を手軽に施行できる,供覧や録画が可能であり患者や家族への説明や学生やスタッフの教育・学会発表に有用,などの多くの利点がある。

近年,ハードウェアや画像認識技術の向上に伴い,赤外線フレンツェルによって得られた眼球運動の画像をコンピュータで画像解析する方法が行われるようになった。video-oculography(VOG)と呼ばれ,electronystagmography(ENG)検査と同様に波形として記録することが可能となった。水平および垂直眼球運動に回旋眼球運動を加えた三次元解析が実用化されてきた1)

被検者の目をゴーグルで覆い,暗所下で撮影する機種が多いが,ミラーを使用することにより前方視が可能な機種で,視刺激検査に使用できるようになった。眼球運動画像の録画と解析をファイリングシステムの利用により統合して行うシステムも開発,実用化されてきた。今後,赤外線フレンツェルはさらに小型・軽量・無線化,頭部固定の安定性の向上,画質の向上,カメラの高速度化が進み,記録,解析における利便性が向上するものと思われる。

【文献】

1) 橋本 誠, 他:耳鼻臨床. 2012;105(7):603-12.

【解説】

橋本 誠*1,山下裕司*2 *1山口大学耳鼻咽喉科講師 *2同教授

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