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楽あれば苦あり[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(190)]

No.4897 (2018年03月03日発行) P.63

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2018-02-28

最終更新日: 2018-02-27

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がん検診や人間ドックを受診しているかどうか、ミステリー作家の畏友・久坂部羊が、医学部の同級生にアンケートをとったことがある。大半はうけていない、という結果であった。私は少数派で、ドックも大腸ファイバーも小まめに受診している。

意外に慎重と思われるかもしれない。けれど、私的解釈はちょっと違う。ひょっとして、突然に治療困難な進行胃がんや大腸がんが見つかったら、きっと、あぁ検査を受けておいたらよかったのに、と激しく後悔するにちがいない。そのような自分のうじうじした性格を勘案しての受診である。

人間ドックは20年ほどになるが、大腸ファイバーは10年ほど前から。医師の友人から、絶対にやるべきだと言われたのがきっかけで、以来2年に一度のペースでうけていた。しかし、去年は4個もポリープがあったので、今年も続けて行くことに。

お膝元の大学病院ではなくて、友人から紹介してもらった、むちゃくちゃうまい専門のクリニックを受診している。決して大学病院の技術を疑っている訳ではない。

検査が痛かったりしたらイヤなので、意識下鎮静でやってもらっている。鎮静剤として使われることがあるラボナールは、自白剤としても使われるお薬だ。意識が朦朧としている時に、言ってはいけないことなんぞを口走ったらいかんので、個人的なつきあいのない先生のところにしているのだ。やっぱり性格が慎重なのかも…。

前処置は苦しい。今回は特に寒い朝だったせいもあって、3リットルもの水分をとると体が冷え切って寒気がした。が、検査自体は寝ている間に終わるのでなんともない。というよりも、むしろ気持ちがよろし。

まず、お薬で眠りに落ちるのが何ともいえない。注射と同時に、す~っと意識が落ちていくのがええ感じである。安楽死の時は、ひょっとしたらこんなのかと思ったりする。うっすらと意識がありながらファイバーをつっこんでもらうのが、また快感。どちらもクセになりそうで、ちょと怖い。

ポリープは、眠っている間に内視鏡下切除してもらったので、まったく何ともなかった。が、1週間の刺激物禁止と2週間の禁酒を命じられたのはきつかった。特に2週間の禁酒というのは、過去に前例がない。何事も楽あれば苦あり。大腸ファイバーも例外ではないのでありました。

なかののつぶやき
「去年も大腸ポリープ切除をしたはずなのに、禁酒をした記憶がまったくない。日記を見たら、なんと、直後に刺激物の極みであるカレーを食べてるし、翌日には大量飲酒をしてる。あっちゃぁ~、注意を全然守ってなかったんやぁ。なにしとったんやろ…。何事もなかったからええようなものの、深く反省いたしております」

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