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高齢者の医薬品適正使用の指針案を取りまとめ【厚生労働省ワーキンググループ】

No.4897 (2018年03月03日発行) P.12

登録日: 2018-02-22

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高齢者の多剤服用(ポリファーマシー)対策を進めるため、厚生労働省のワーキンググループ(WG)は21日、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」の案を大筋で取りまとめた。入退院に際して病院とかかりつけ医が連携することを求めたほか、8つの薬効群ごとに使用方法に関する注意などを記載した。指針は4月をメドに正式に決定する予定。

指針の利用を想定しているのは主に医師、歯科医師、薬剤師。ただ、患者の服薬状況や症状の把握と服薬支援の点で、看護師や他職種も想定されるとした。対象としている高齢者に関しては、特に平均的な服用薬剤の種類が増加する75歳以上に重点を置いた。

■薬物有害事象は薬剤数にほぼ比例して増加

指針では、ポリファーマシーの定義について、薬物有害事象は薬剤数にほぼ比例して増加するものの、治療に6 種類以上の薬剤が必要な場合もあれば、3種類で問題が起きる場合もあり、本質的にはその中身が重要であると指摘。

薬物投与の留意事項としては、高齢者では薬物の最高血中濃度の増大と体内からの消失の遅延が起こりやすいため、「少量(例えば、1/2 量~1/3 量)から開始し、効果と有害事象をモニタリングしながら徐々に増量していくことが原則」と明記した。

その上で「催眠鎮静薬・抗不安薬」「抗うつ薬(スルピリド含む)」「BPSD 治療薬」「高血圧治療薬」「糖尿病治療薬」「脂質異常症治療薬」「抗凝固薬」「消化性潰瘍治療薬」の8つの薬効群ごとに代表的な商品名を挙げて、高齢者の特性を考慮した薬剤選択、投与量、使用方法などについて注意喚起している。

また、多職種・医療機関と地域が協働する必要性も強調。入退院に際しては、かかりつけ医と連携を取り、処方意図や退院後の方針について確認しながら進めるよう求めている。

厚労省は来月、WGの親会議にあたる「高齢者医薬品適正使用検討会」で指針案について議論した後、パブリックコメントを募集し、最終的な指針を決定する予定。

なお、厚労省によると、指針案は「各領域のガイドラインに記載された処方の情報をまとめたガイダンス」という位置づけ。そのため現場の混乱を避けるためにガイドラインという呼び方はせず「指針」にしたとする。

指針案を取りまとめた「高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ」(主査=秋下雅弘日本老年医学会副理事長)  

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