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(2) 母指CM関節症の保存的治療[特集:母指CM関節症]

No.4896 (2018年02月24日発行) P.32

麻生邦一 (麻生整形外科クリニック院長)

登録日: 2018-02-23

最終更新日: 2018-02-21

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母指手根中手(CM)関節症の治療は,保存的治療が基本である

本疾患の理解と母指の使い方の生活指導が保存的治療の第一である

自然経過で良くなっていくことがあり,手術を急ぐべきではない

関節に炎症が認められる場合には,NSAIDsや物理療法も有効である

関節炎が強い症例,初期の症例にはステロイド関節内注射が有効である。しかし,漫然と繰り返してはいけない

装具療法は,一定期間使用すれば効果がある。特に進行していない症例に有効である。装着感が大事である

症状が強い症例には,注射で関節炎を抑え,その効果が続くように装具を装着する治療が有効である

1. 増加する母指CM関節症

母指の加齢と使い過ぎによって発症する母指手根中手(carpometacarpal joint:CM)関節症は,筆者の研修医の頃や勤務医になった頃を思い起こすと,はるかに増えているように感じる。最近18年間(開業後)の当院における症例数と内訳を示す(図1)。735例の内訳は,年齢では60歳代,50歳代が多く,ついで70歳代で,これでおよそ8割を占め,性別では女性が男性の3.3倍多い。保存的治療が第一選択で,手術に至った症例は80例(11%)にすぎない。

2. 保存的治療

軟骨の退行変性で関節に痛みと機能障害をもたらす変形性関節症の治療は,保存的治療が第一選択である。母指CM関節に生じるCM関節症でも,それは同様である。「Hand Surgery」という教科書にも「すべての患者に対して最初は保存的に治療されるべきである」と書かれている1)。治療の目標は,関節症という疾患が治癒を望めない疾患であるために,今後いかに関節の破壊,進行を食い止め,症状を軽減させ,日常生活や仕事でできるだけ支障がないようにするか,である。

保存的治療は,生活指導,抗炎症薬の外用,内服の投与,理学療法,ステロイド関節内注射,装具療法などである2)

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