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(1) 母指CM関節症の症状と診断[特集:母指CM関節症]

No.4896 (2018年02月24日発行) P.26

藤澤幸三 (鈴鹿回生病院名誉院長/鈴鹿医療科学大学理事・特任教授)

登録日: 2018-02-23

最終更新日: 2018-02-21

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母指手根中手(CM)関節症は,よく遭遇する症例か?

どのような愁訴が多いか? ADL障害は?

母指CM関節症の病態・解剖学的特徴は? なぜ発症しやすいか?

リスクファクターは何かあるのか?(年齢,職業,性差など)

鑑別診断は?

治療指針は?(専門医への紹介)

1. 日常生活における指の痛み

日常診療において母指周辺の痛みを訴えてくる患者は比較的多い。屈筋腱腱鞘炎,ドケルバン病,舟状骨骨折,手根中手(carpometacarpal joint:CM)関節症などがあるが,CM関節症に関してはあまり関心を持たれず,「年齢のせい」「使いすぎによる痛み(over use)」「治らない(治療法はない)」「経過をみましょう」などと説明されて諦めている患者もいる。しかし,CM関節症の症状・病態をしっかり正確に把握して患者に説明し,治療を勧め,患者のQOL改善に努めるべきである。

2. 症状

まず愁訴を列挙する。愁訴だけでは確定診断はつかない。

・つまみ動作(ピンチ)時の痛み
・ドアのノブ操作時の痛み(prehension grip)
・ホッチキス,ハサミ操作困難・痛み(grasp)
・大きいものの握り動作時の痛み(grasp or prehension grasp)
・病期が進むと変形(CM関節の亜脱臼位,第1中手骨の内転拘縮,対立障害)
・その他(痛みのため書字動作が困難,除草などの庭仕事ができない)

3. 病態・解剖学的特徴

40歳以上の女性に多いとされている。関節面の形態は鞍状関節である(図1)。それゆえ,多方向の動きが可能であり,それを支えている靱帯構造が大きな意味を持つ(図2)1)。つまり,関節面の形態と,軟部組織である靱帯の異常が関節症発症のリスクファクターとなる2)〜4)

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