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「タイムカードで労働時間管理」は医師の3割以下―医師ユニオン実態調査

No.4897 (2018年03月03日発行) P.12

登録日: 2018-02-21

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全国の勤務医で構成する労働組合「全国医師ユニオン」は19日、「勤務医労働実態調査2017」の結果をまとめた最終報告を公表した。労働時間がタイムカード等で管理されている医師は3割未満で、多くの医療機関で自己申告ベースとなっていることが示唆された。報告書では「立場の弱い研修医等が長時間の時間外労働を自己申告することは極めて困難である」として、客観的手法による労働時間管理の徹底を訴えている。

調査は昨年7~9月、保険医協会や学会等を通じて協力を依頼したほか、ユニオンのホームページでも実施。有効回答数は1803人。

調査結果によると、労働時間をタイムカード等で客観的に管理されているとの回答は、全体の27.5%だった。ただし、客観的管理の実施割合には開設主体によって大きな差があり、大学病院では5.5%だった一方で、国公立病院では10.2%、公的病院では19.1%、私的病院では49.5%となっていた。

残業代については、「請求に上限がある」「定額支給」「手当なし」など、労働基準法違反の疑いがある回答が全体の5割近くに達した。当直内容が「通常と同じ」とした回答は34.5%を占め、当直明け勤務が「通常業務」とした回答は78.7%に上った。また、月の休みが1日もない医師が約1割いることも分かった。

また、政府が推進する「働き方改革」で医師労働が改善するかとの問いに「改善する」としたのは全体の2割に満たず、働き方改革への期待の低さが示された。

調査結果を踏まえ、報告書では、医師法改正による応召義務規定の見直しや、医療機関が労基法を遵守しても経営を保てる診療報酬の実現を求めている。

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