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膵疾患に対するエラストグラフィーの有用性と最近の進歩【膵腫瘍の良悪性診断に有用。慢性膵炎診断でも力を発揮。弾性に加え粘性の評価も可能に】

No.4896 (2018年02月24日発行) P.51

石川卓哉 (名古屋大学病院消化器内科学)

桑原崇通 (愛知県がんセンター中央病院消化器内科部医長)

登録日: 2018-02-25

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  • 膵疾患に対するエラストグラフィー(経腹壁超音波検査または超音波内視鏡検査)の有用性と最近の進歩について,現在の課題や今後の展望をご教示下さい。愛知県がんセンター・桑原崇通先生にお願いします。

    【質問者】

    石川卓哉 名古屋大学病院消化器内科学


    【回答】

    (1)エラストグラフィーとは

    エラストグラフィーは非侵襲的に組織の硬さを画像化・数値化する技術で,様々な疾患・臓器において使用されています。近年,膵疾患に対してもエラストグラフィーが行われるようになり,その有用性が報告されはじめています。膵疾患に対するエラストグラフィーは組織硬度と負の相関関係にある歪み(strain)を測定することで硬さを画像化する「strain elastography」と,硬さと正の相関関係にある剪断弾性波(shear wave)を測定することで硬さを数値化する「shear wave elastography」の2種類が主に使用されており,前者は経腹壁超音波だけではなく,超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography:EUS)を用いて行うことも可能です。

    (2)膵疾患へのエラストグラフィーの応用

    膵疾患に対する応用例としては,EUSとstrain elastographyを用いた膵腫瘍の良悪性診断の有用性が一番多く報告されており,その診断能は感度90%,特異度70%前後と言われています。また,客観的診断が困難な慢性膵炎診断,特に他画像検査では診断困難な早期慢性膵炎診断にも応用されており,その診断能はどの超音波エラストグラフィーでも感度85%,特異度75%前後と言われています。

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