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【他科への手紙】内分泌・糖尿病内科→泌尿器科

No.4896 (2018年02月24日発行) P.45

野見山 崇 (福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科准教授)

登録日: 2018-02-21

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  • 泌尿器科の先生方には副腎疾患の手術等で大変お世話になっております。しかし、今回お伝えしたいことは前立腺癌についてです。

    糖尿病では前立腺癌が少ないということが定説となっていました。しかし、最近の研究では糖尿病患者でも前立腺癌は稀ではなく、糖尿病が合併していると前立腺癌が進行しやすいとも言われております。それは糖尿病病態の変化に起因しています。

    以前の糖尿病患者は、やせ形で明らかにインスリン分泌能が低下している状態が大部分でしたが、最近、糖尿病患者のBMI(Body Mass Index)は上昇し、肥満した患者が多くみられるようになりました。インスリン分泌が低下した状態ではアンドロゲン作用も低下しており、前立腺癌は少ないかもしれません。しかし、肥満した糖尿病患者はアンドロゲンの低下はなく、インスリン抵抗性に伴う慢性高インスリン血症の状態にあります。

    インスリンは糖代謝の標的臓器ではその作用が減弱することがありますが、前立腺癌をはじめとした癌細胞では純粋な増殖因子として血中濃度に比例して細胞増殖を促し、癌を悪化させることが知られています。糖尿病でも前立腺癌のスクリーニングをこまめに行い、早期発見・治療介入が必要と考えておりますので、副腎疾患のみならず前立腺癌に関してもご協力をお願い申し上げます。

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