厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は16日、医師の労働時間短縮に向けた「緊急的な取組」を取りまとめた。薬の説明や服薬指導など9つの業務について、原則医師以外の職種が実施するよう求めている。厚労省は今月中にも医療機関に通知する方針。
「緊急的な取組」は、医師を雇用する全ての医療機関に対し、①医師の労働時間管理の適正化、②36協定等の自己点検、③既存の産業保健の仕組みの活用、④タスク・シフティング(業務移管)の推進、⑤女性医師等に対する支援、⑥医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取組―を求めるもの。
このうち、タスク・シフティングについては9項目の業務を「原則医師以外の職種」が実施することを要請。具体的には、「初療時の予診」「検査手順の説明や入院の説明」「薬の説明や服薬の指導」「静脈採血」「静脈注射」「静脈ラインの確保」「尿道カテーテルの留置(患者の性別を問わない)」「診断書等の代行入力」「患者の移動」について、他職種が分担して実施することで、医師の負担を軽減するよう求めた。
同検討会は政府の「働き方改革実行計画」を踏まえ昨年8月に設置されたもの。医師に対する罰則付き時間外労働の上限規制のあり方について、2019年3月までに結論を出すことになっている。
同日は結論に向けた「中間的な論点整理」を取りまとめた。ここでは、応召義務のあり方も検討事項として提示。根拠となる医師法施行時(1948年)から大きく変化した社会情勢やテクノロジー、個人ではなく組織としての対応をどう整理すべきかといった観点から検討することを提案している。
このほか同日の会合では、今村聡構成員(日本医師会)が結論に向けた議論を効率良く進めるために、「医療界で集まって何らかの組織をつくり、そこで(医師の働き方改革に関して)具体案を作成し、ここで提示したい」と提案し、了承された。