株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【他科への手紙】消化器内科→一般内科

No.4895 (2018年02月17日発行) P.47

田中由佳里 (東北大学東北メディカル・メガバンク機構)

登録日: 2018-02-14

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 一般内科の先生方にはいつもお世話になっております。近年、過敏性腸症候群(IBS)について、先生方から数多くご照会頂くようになり、感謝申し上げます。その中でIBSの診断について、特に便秘を有する場合の見分け方についてご質問を頂くことがあります。

    一般的によく用いられる「便秘」は、腸の動きが鈍っているため、もしくは水分摂取不足により、排便回数の低下や硬便を呈する状態です。機能性消化管疾患の診断基準(Rome分類)では「機能性便秘」という名前です。

    一方、IBSでは週に1回以上突然の腹痛が起こり、それに伴ってトイレに駆け込むほどの便意を生じ、その際の便は柔らかい、もしくは硬い便となります。多くは排便により腹痛が改善します。消化管感染症や腫瘍、二次的要因などの器質的疾患を除外した上で、3カ月以上慢性的に続いている場合に該当します。症状出現時の便が水様〜軟便の「下痢型」、コロコロした硬便の「便秘型」、そして、軟便と硬便を交互に繰り返す「混合型」などに分類されます。日本人成人の約15%前後がIBSで、そのうち約3分の2が10代で既に発症しており、広い年代にわたり数多くの患者がいます。来院時に患者が腹痛状態のことは少なく、血液検査や画像検査、内視鏡検査などでも異常所見がないため、判断に困る場合もあります。

    残り570文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top