株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

精神療法のトレーニングにおいて精神科医が気をつけるべきこと【治療者-患者関係の「密室」的な状況を越えて,他者と交わる仕掛けを工夫する】

No.4894 (2018年02月10日発行) P.56

縄田秀幸 (河野医院)

原田康平 (福岡大学医学部精神医学教室)

登録日: 2018-02-09

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 精神療法のトレーニングにおいて精神科医が気をつけるべきことについて,福岡大学・原田康平先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    縄田秀幸 河野医院


    【回答】

    筆者が所属する福岡大学医学部精神医学教室は,伝統的に精神分析的精神療法・力動的精神療法をルーツに持つ教室です。精神分析的精神療法などの専門的な「狭義」の精神療法に対して,日常臨床の外来・入院治療で治療者が患者を「どう理解するか,どう言葉掛けをするか,どう動くか」までを含めた「広義」の精神療法という見方があります。本稿では「広義」の精神療法のトレーニングにおいて精神科医が気をつけるべきことを紹介します。

    基本的には,精神療法は患者と治療者の2人だけのいわゆる「密室」的な状況で行われることが多く,そこには常に治療者─患者関係が流れています。その関係を考慮しながら,治療者は毎日行っている「理解,言葉掛け,動き方」の意味を理解してスキルを磨くために,自身で気づこうとして学び続ける姿勢が重要です。しかし,「密室」ゆえにすべて1人で振り返ることには限界があり,だからこそ「他者」との交わりによってスキルが磨かれるものです。たとえば,医局でお茶を飲みながら先輩や同僚とざっくばらんな会話を通して学ぶというような,日常の語る場が原点になります。精神療法のトレーニングでは,治療者─患者関係も含めた精神療法的な関わりについて他者と語る「人,日時,場所,やり方」を構築し,いかに現場に合わせて工夫した「仕掛け」をつくっていくかが重要です。以下は当医局での実践の工夫です。

    残り635文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top