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輸血で感染疑いあればHEVも検査を―厚労省、死亡例受け安全確保を要請

No.4894 (2018年02月10日発行) P.13

登録日: 2018-02-02

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輸血用血液製剤を介してE型肝炎ウイルス(HEV)に感染し、劇症肝炎で死亡した事例の発生を受け、厚生労働省は1日、医療機関における血液製剤使用時の安全確保措置について通知した。B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)だけでなく、HEVも輸血で感染する可能性があることを念頭に置き、感染が疑われる場合はウイルスマーカー検査を実施し、経過観察を行うよう求めている。

日本赤十字社によると、死亡した患者は、多発性骨髄腫の治療で抗がん剤投与を受けていた80代女性。患者は昨年7月に輸血を受け、10月に肝機能値が上昇したため、抗がん剤の中断と肝庇護薬の投与が行われ、一時的に軽快した。しかし、抗がん剤再開後に肝障害が再燃し、11月に劇症肝炎で死亡した。

日赤の検査では、患者と献血者の血液から同じジェノタイプのHEVが検出された。日赤は厚労省への報告資料の中で、患者が高齢であり、抗がん剤で肝予備能が低下していたところへ、輸血によりHEVに感染したことで、劇症肝炎を発症したとする専門医の意見を紹介。献血者は生のシカ肉を喫食したことでHEVに感染した可能性があるという。輸血を介したHEV感染による劇症肝炎や死亡例はこれまで国内、海外で報告されていない。

厚労省の通知では、輸血で感染が認められた場合には適切な処置を行うことを要請。今回の死亡例のように、原疾患の治療などで免疫系の抑制を伴う処置が必要な場合は肝障害等のリスクを考慮すべきとしている。HEVの検査方法や治療方針については、肝臓専門医に相談することを推奨している。

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