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救急医療と救急医学[エッセイ]

No.4893 (2018年02月03日発行) P.65

松田直之 (名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野教授)

登録日: 2018-02-04

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救急医療は、医療法第30条の4第2項第5号および厚生労働省の定める5疾病5事業として、1つの重要な事業として定められています。国立大学救急医学講座の1人の教授として、この仕組みづくりと学術に尽力したいと考えています。5事業に含まれる他の4事業として挙げられている、ロ)災害時における医療、ハ)へき地の医療、ニ)周産期医療、ホ)小児医療(小児救急医療を含む)についても、救急医療と連動することで、緊急時管理の質が高まると予測されます。

私が大学で救急医療に携わるようになったきっかけは、平成9年12月11日に厚生省より公表された「救急医療体制基本問題検討会報告書」です。国公立大学は、救急医学の全般と進展を学生、研修医、また専門診療科医師やコメディカルに教授し、彼らに幅広い対応を伝承する一方で、さらに急性期管理医学として研究と管理システムを発展させる必要があります。本報告書では、国公立大学における救急医学講座の設置と、「救急医学講座を有する国立大学は“救命救急センター”運営のために、早急に財源の優先化を図り、地域の救急医療体制の充実に貢献すべきであること」が伝えられました。これは、現在から振り返れば、後に公表される5疾病5事業を支える基盤提案であったのかもしれません。

国公立大学病院で救急医療をすることは、大変な苦労を伴います。マンパワーの育成も必要となります。しかし、この形成の必然は、広域災害を含めた5疾病5事業の向上、そして患者の早期診断と早期治療、および急性期病態学の学術創生にあります。

これからも、皆さまからの御支援を頂きたいと考えています。

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