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安定したアテローム性血管疾患患者に対するリバーロキサバン・アスピリン併用療法【脳卒中,心血管死,心筋梗塞の複合リスクを有意に低減】

No.4893 (2018年02月03日発行) P.48

石田弘毅 (北里大学循環器内科)

登録日: 2018-01-31

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これまで,心血管疾患の二次予防としてアスピリンは単独で使用され,イベント再発リスクを低下させる効果が示されているが,その発生率は依然高いままである(5~10%/年)。

リバーロキサバンは第Ⅹa因子阻害薬であり,静脈血栓症の予防や,非弁膜症性心房細動の脳卒中予防に使われてきた。急性冠症候群の患者を対象とした試験において,アスピリン,クロピドグレルに極微量のリバーロキサバンを追加すると,出血イベントは増えたが,血栓イベントの減少が確認されていた。

2017年の欧州心臓病学会において,リバーロキサバンのアスピリン併用療法が慢性冠動脈疾患・末梢動脈疾患患者の脳卒中,心血管死,心筋梗塞の複合リスクを24%有意に低減したことが発表され,NEJMに同時掲載された1)

本試験は2万7395人の患者を対象にした大規模試験であり,リバーロキサバン2.5mg 1日2回とアスピリン100mg併用群と,アスピリン単独群にランダム化して経過を比較した。重大な出血イベントはリバーロキサバン併用群のほうで発生率が高かったが,脳卒中,心血管死,心筋梗塞の複合イベント発生率は有意に低かった。

以上の結果から,臨床診療における慢性冠動脈疾患,末梢血管疾患の二次予防治療としてアスピリンに加え,極微量リバーロキサバンを使用することが今後検討されていく可能性も考えられる。

【文献】

1) Eikelboom JW, et al:N Engl J Med. 2017;377 (14):1319-30.

【解説】

石田弘毅 北里大学循環器内科

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