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前置癒着胎盤の管理:適切な術前準備と術式は?【熟練者の常駐,輸血製剤などの準備のもと,術中は無理な胎盤剝離の回避などに留意】

No.4892 (2018年01月27日発行) P.54

谷村憲司 (神戸大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター講師)

登録日: 2018-01-28

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既往帝切妊娠に前置胎盤を合併した場合は癒着胎盤のハイリスクであり,無理に胎盤剝離を行うと母体失血死につながりかねない。したがって,前置癒着胎盤が予測される症例では輸血,IVR等の術前準備を行った上で手術に臨む必要がある。しかし,最適な術前準備や術式に関するエビデンス構築は困難で,たとえば貯血式自己血輸血が有用とするエビデンスすらない。

英国1)や米国2)のガイドラインでは,前置癒着胎盤が予測される場合に必要な術前準備等として,①熟練した産婦人科医,麻酔科医が常駐し,放射線科,泌尿器科等の医師にいつでも相談可能な環境,②クロスマッチ済み輸血製剤,③同種血輸血を拒否する患者にはcell saverの準備等が挙げられる。一方,内腸骨動脈バルーンカテーテル等の予防的使用の効果については賛否両論とされる。

術式等に関して,①施術時期は妊娠34~37週が適当,②胎盤を避けた子宮筋層切開部位を選択,③無理な胎盤剝離の禁止,④次回妊娠希望がない場合は子宮摘出,ある場合は胎盤遺残のまま子宮温存を選択する,とされる。しかし,子宮温存の場合には,出血や子宮内感染により子宮摘出が必要になる場合がある。また,遺残胎盤に対してメトトレキサート投与や動脈塞栓は推奨されない。

施設ごとで十分な術前準備と訓練を行っておく必要がある。

【文献】

1) RCOG:Green-top Guideline No.27, 2011.

2) ACOG:Committee Opinion No.529, 2012.

【解説】

谷村憲司 神戸大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター講師

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