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運転免許証の自主返納─認知症高齢者本人と家族への説明の仕方 【運転を止めにくい背景から順を追って説明し,返納後の生活のフォローまで配慮】

No.4888 (2017年12月30日発行) P.60

櫻井博文 (東京医科大学病院高齢診療科教授/総合相談・支援センター,認知症疾患医療センター 副センター長)

上村直人 (高知大学医学部精神神経科学教室講師)

登録日: 2017-12-25

最終更新日: 2017-12-22

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  • 2017年3月12日より改正道路交通法が施行されました。認知症高齢者における診断書提出命令に対しては,専門医だけでなくかかりつけ医の対応も求められます。運転免許証の自主返納を勧めたいと思いますが,ご本人・ご家族にどのように説明したらよいでしょうか。
    高知大学・上村直人先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    櫻井博文 東京医科大学病院高齢診療科教授/ 総合相談・支援センター,認知症疾患医療センター 副センター長


    【回答】

    2017年3月12日から,75歳以上の免許更新者で,講習予備検査の結果,認知症の恐れがある第1分類と判定された人は,医療機関の受診が義務化され,認知症と診断された場合の免許取り消しが法制化されました1)。したがって,認知症専門医だけでなく,かかりつけ医も認知症と自動車運転の問題に関わることが増えてきています。そして認知症と診断された場合,都道府県公安委員会の判断に基づき原則,運転免許が取り消されることになります。

    以下,主治医が認知症と判断し,本人や家族に認知症の告知をした上で,免許の自主返納を促す際の説明方法や工夫について説明します。

    私たちの調査では,認知症の人やその家族が運転を止めにくい理由には,認知症本人の病識が低下していること,運転することがその人の地域生活や生きがいに密接に関係していること,家族の生活自体が認知症の人の運転に依存していることなどが関係していました。そのため,自主返納を促す際には本人,家族に認知症の告知を行った上で,認知症患者が運転を止めにくい背景や理由について主治医やかかりつけ医からきちんと話を行うと同時に,運転中断後の生活スタイルや生活指導を診察室の中で行うことが重要です。

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