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炎症性腸疾患における新規サイトカイン,IL-36の役割【炎症性腸疾患では免疫細胞からのIL-36の発現が上昇する】

No.4888 (2017年12月30日発行) P.56

西田淳史 (滋賀医科大学消化器内科)

安藤 朗 (滋賀医科大学消化器内科教授)

登録日: 2017-12-27

最終更新日: 2017-12-22

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潰瘍性大腸炎とクローン病に代表される炎症性腸疾患の病因については,環境因子,遺伝的因子,免疫異常や腸内細菌などの様々な要因が関与していると考えられている。また,これまでの研究から,サイトカインがその病態形成に重要な役割を果たしていることはよく知られている。たとえば,炎症性腸疾患の治療薬として使用されている抗TNF-α抗体が著効することからも理解できる。筆者らは,IL-1β,IL-18やIL-33といったIL-1 familyサイトカインと炎症性腸疾患について検討してきた。最近の報告で,新たなIL-1 familyサイトカインとしてIL-36が発見されており,IL-36と炎症性腸疾患の関連について検討を行った1)

IL-36にはIL-36α,IL-36β,IL-36γの3つがあり,IL-1RとIL-1RAcPをレセプターとしている。これまで,関節リウマチや乾癬といった慢性炎症性疾患での関与が指摘されていた。筆者らの検討では,健常人に比べて潰瘍性大腸炎やクローン病患者の粘膜で,IL-36αおよびIL-36γの発現上昇がみられた。IL-36αおよびIL-36γの上皮への機能として,CXCLケモカインの誘導が認められた。このように,炎症性腸疾患では,免疫細胞からのIL-36の発現が上昇し,それに続いて腸管上皮細胞からのCXCLケモカインの発現が誘導され,慢性炎症が持続すると想定された。これらの結果を,IL-36を標的とした炎症性腸疾患の新たな治療開発につなげたいと考えている。

【文献】

1) Nishida A, et al:Inflamm Bowel Dis. 2016;22 (2):303-14.

【解説】

西田淳史*1,安藤 朗*2 *1滋賀医科大学消化器内科 *2同教授

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