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診療側「薬価財源は本体に充てプラスを」、支払側「本体充当せずマイナスに」【どうなる?診療報酬改定】

登録日: 2017-12-13

最終更新日: 2017-12-13

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「改定率決着」の報道に不満を露わにした支払側委員

中央社会保険医療協議会(中医協)の診療側、支払側両委員は13日に開かれた総会で、2018年度診療報酬の改定率決定に先立ち、それぞれ意見陳述した。診療側は薬価引下げ分財源を診療報酬本体に充てた上でのプラス改定を主張。支払側は国民負担抑制の観点からマイナス改定を求めた。ただ、新聞等による「本体引上げで決着」との報道を受け、支払側委員からは不満の声が上がった。

支払側代表の幸野庄司委員(健康保険組合連合会)は、団塊の世代が75歳以上となる2025年に国民医療費が約61兆円に達するとの推計を示し、医療費増加が経済成長の足枷になりかねないと危惧。医療機関の経営については、やや悪化の傾向はみられるものの、国公立病院を除けば「概ね堅調」との見解を示し、薬価改定財源を本体に充当せず「国民に還元する必要がある」とした。

これに対し、診療側代表の松本純一委員(日本医師会)は「診療報酬は医療機関の経営の原資。国民に安心・安全で納得できる医療を提供するためには医療機関の経営が健全であることが重要」と強調。薬価改定財源を本体に充て、プラス改定とすべきと主張した。

■幸野氏、マイナス改定主張に「虚しさ」

診療報酬改定率は、政府内の予算編成プロセスの中で決定される。週明け(18日以降)にも、厚生労働省と財務省の大臣折衝が行われ、最終調整段階に入る見通しとなっているが、一部新聞は13日朝刊などで「政府・与党が本体改定率0.55%プラスとすることを決めた」と報じた。

これについて幸野委員は、意見陳述の途中、マイナス改定を主張することへの「虚しさ」を吐露し、厚生労働省に対しても「このような報道が流れるのは問題だ」「中医協の存在が軽視されている」と訴えた。一方、松本委員は「遺憾だと思う気持ちは同じ」としたが、支払側委員ほどの強い反発は示さなかった。

中医協は早ければ次回会合(15日)で、公益委員が診療側、支払側双方の意見を踏まえた議論の整理案を提示する。

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