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インフルエンザの予防と治療【新しいワクチン効果評価法と新規抗インフルエンザ薬】

No.4886 (2017年12月16日発行) P.59

佐藤晶論 (福島県立医科大学小児科講師)

登録日: 2017-12-15

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従来のインフルエンザワクチンは,A型についてはH1亜型とH3亜型の2種類の抗原,B型についてはビクトリア系統と山形系統のいずれかの抗原を含む3価ワクチンであったが,2015/2016シーズンからはB型の2種類の抗原を含有する4価ワクチンとなった。小児におけるワクチンによる発症予防効果は,ワクチン株と流行株の抗原性が一致しないシーズンでは約40%と低いが,抗原性が一致したシーズンでは60%前後と高い1)。最近,迅速診断キットを用いた診断陰性例コントロール試験により,シーズン途中でも臨床の現場にワクチンの効果をリアルタイムに還元する試みが行われている2)

インフルエンザに罹患した際に投薬されるノイラミニダーゼ(NA)阻害薬には,経口製剤,吸入製剤,点滴静注製剤がある。小児科領域では,年齢と剤形によって使用の可否が異なる薬剤があること,さらに,それぞれの薬理学的特徴に基づく抗ウイルス効果にも違いがあることから,症例によって適切なNA阻害薬を選択する必要がある。2016年からは乳児に対してもオセルタミビルの投与が認可されたが,その薬物動態に基づいて1歳以上の幼児よりも高用量での投与が推奨されている。NA阻害薬に感受性が低下した変異株が分離されることがあり,現在,NA阻害薬とは異なる阻害機序を持つ新規抗ウイルス薬が開発されている。特にキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬は1日1回,単回内服のみで治療が完了する薬剤であり,期待されている。

【文献】

1) Katayose M, et al:Vaccine. 2011;29(9):1844-9.

2) Shinjoh M, et al:PLoS One. 2015;10(8):e0136539.

【解説】

佐藤晶論 福島県立医科大学小児科講師

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