株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

関節リウマチの新たな治療薬【分子標的型合成DMARDsの2剤目としてバリシチニブが発売された】

No.4886 (2017年12月16日発行) P.57

野田聖二 (東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科)

上阪 等 (東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科教授)

登録日: 2017-12-16

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関節リウマチ(RA)治療で細胞内Janus kinase(JAK)─シグナル伝達と転写活性因子経路阻害が有効なため開発された,内服可能な抗リウマチ薬がJAK阻害薬である1)。先行のトファシチニブ(TOF)に加え,2017年7月にバリシチニブ(BARI)が発売された。前者は主にJAK1または3が結合する受容体,後者はJAK1または2が結合する受容体を阻害する1)。前者は1日2回内服が必要であるが,後者は1日1回で効果が得られる。

BARIの有効性に関する第3相試験,特にRA-BEAM試験ではメトトレキサート(MTX)へ反応不良なRA患者に対しMTXに加えプラセボ,アダリムマブ(ADA),BARIを投与し,12週目でACR20反応率はADA群と比較し非劣性を呈した2)。しかし,24週目で画像上の関節破壊進行の予防効果はADAと同等であった2)

一方,安全性に関して好中球数減少,貧血などの副作用が報告された2)。感染症についてアジアで帯状疱疹の発症頻度の上昇が指摘された2)
TOF不応性のRAに対し,効果不明な点や従来の生物学的製剤と同様に感染症,特に帯状疱疹を起こしやすい点は留意すべきであるが,BARIは従来の生物学的製剤と同等の有効性を持つ経口抗リウマチ薬と考えられる。

【文献】

1) Kuriya B, et al:Ther Adv Musculoskelet Dis. 2017; 9(2):37-44.

2) Taylor PC, et al:N Engl J Med. 2017;376(7):652-62.

【解説】

野田聖二*1,上阪 等*2  *1東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科 *2同教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top