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(1)もやもや病の病態と診断[特集:もやもや病の診断と治療の現在]

No.4884 (2017年12月02日発行) P.28

舟木健史 (京都大学大学院医学研究科・医学部脳神経外科)

登録日: 2017-12-01

最終更新日: 2021-01-07

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  • もやもや病は,内頸動脈終末部が慢性かつ進行性に狭窄し,代償性に異常血管網が形成される脳血管疾患であり,厚生労働省の定める指定難病の1つである

    2015年に厚生労働省診断基準が改訂されて,片側の内頸動脈のみの病変であっても,もやもや病として認定されるようになった

    近年,もやもや病感受性遺伝子であるRNF213が同定されたが,発症原因をRNF213のみで説明することは難しく,いまだ不明な点も多い

    もやもや病の発症様式には虚血発症と出血発症があり,画像検査としてMRI/MRA,SPECTなどの脳血流検査,脳血管撮影などが行われる

    1. もやもや病の疾患概念

    もやもや病は,1960年前後にわが国において発見され,命名された疾患である1)。本症の特徴は,①内頸動脈終末部が慢性かつ進行性に狭窄し,②代償性に異常血管網(いわゆる「もやもや血管」)が形成され,③ほかに明らかな基礎疾患を有さない,ことである(図1)。もやもや病は比較的稀な疾患であるが,アジア人種に多く,わが国における若年者脳卒中の原因として上位を占める。

       

    男女比は1:1.6~2.2で女性にやや多く,発症年齢分布は小児期(就学前後)と30~40歳代の2つのピークがある。本疾患は先天性の疾患ではないが,10~20%に家族内発症が認められる。後述するように,近年,感受性遺伝子の存在が明らかとなっている。

    2. もやもや病診断基準の改訂

    もやもや病は厚生労働省の定める指定難病の1つであり,公費による医療費助成の対象疾患である。2015年にもやもや病の厚生労働省診断基準が改訂され,現在この新基準に従ってもやもや病の診断が行われている(表1)2)

    旧診断基準からの主な変更点として,片側例(一側の内頸動脈のみに病変がある例)でも,もやもや病として認定されるようになったことが挙げられる。ただし,片側例の場合には,診断に脳血管撮影が必須とされている。両側例や,小児片側例(反対側の内頸動脈終末部付近にも狭窄の所見を伴う)では,従来通りMRIのみでも確定診断が可能である。なお,旧診断基準にある「疑い例」という分類は削除された。

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