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『平成29年版厚生労働白書─社会保障と経済成長』をどう読むか?[深層を読む・真相を解く(70)]

No.4884 (2017年12月02日発行) P.20

二木 立 (日本福祉大学相談役・特別任用教授)

登録日: 2017-12-04

最終更新日: 2017-11-29

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厚生労働省は10月24日、『平成29年版厚生労働白書─社会保障と経済成長』を公表しました。『白書』は過去何度も副題で「社会保障」を取り上げてきましたが、社会保障と経済(成長)について取り上げるのは今回が初めてです
副題について記述している第1部は以下の3章構成です:第1章「我が国経済社会の中の社会保障」、第2章「国民生活と社会保障」、第3章「成長という視点から見た社会保障」(全180頁)。以下、第1章を中心に、過去の『白書』の記述との簡単な比較も交えながら検討します。

社会保障の役割と機能

第1章第1節「社会保障の役割と機能」では、社会保障の目的が、社会保障制度審議会「1950年勧告」の「最低限度の生活の保障」を行うものから、同審議会「1995年勧告」の「広く国民に健やかで安心できる生活を保障するもの」へと変化してきたことが示されています(4-5頁)。

第1節は、「社会保障の機能は、主として、①生活安定・向上機能、②所得再分配機能、③経済安定機能の3つ」であるとし、それぞれについて詳しく検討しています(8-9頁)。この社会保障の3機能説は『平成20年版白書』から採用されています(7-15頁)。

経済社会の変化と社会保障

第1章第2節「経済社会の変化と社会保障」は4本柱で、「我が国の社会保障の特徴」、「我が国の社会保障を取り巻く状況の変化」、「社会保障と税の一体改革」、「ニッポン一億総活躍プラン」を説明しています。私は以下の3点に注目しました。

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