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重症筋無力症(MG)の外科治療【胸腺摘出により有意にMG症状が改善し,プレドニン®内服量も減量可】

No.4882 (2017年11月18日発行) P.55

多久和輝尚 (兵庫医科大学呼吸器外科講師)

登録日: 2017-11-17

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2016年に報告されたMGTX試験1)によって,重症筋無力症(MG)の外科治療に方向性が示された。

MGに対する胸腺摘出は,1939年にBlalockらにより初めて行われた2)。以降,多数のMGに対する胸腺摘出の有用性,さらに胸腺摘出術式についての報告が続いた3)4)。しかし,いずれも症例報告,後ろ向きの解析であり,2000年にはMG治療に対する胸腺摘出の有効性は不明であるとのコンセンサスレポートが出された5)。01年に試験のプランが立ち上がり,06年にMGTXが開始した。

抗アセチルコリンレセプター抗体価陽性(1.0 nmol/L以上),胸腺腫を認めないMG(class Ⅱ~Ⅳ)症例(罹患期間5年未満,18~65歳)を,「プレドニゾロン(プレドニン®)治療単独群」と,胸骨正中切開下胸腺摘出を追加実施した「胸腺摘出群」にランダム割り付けし,3年間におけるプレドニン®使用量とMG症状の経過を評価した。

「胸腺摘出群」において有意にMG症状が改善し(MGスコア6.15 vs. 8.99,P<0.0001),プレドニン®内服量の減量(44mg vs. 60mg,P<0.001)を認めた。胸腺摘出の有用性について高いレベルのエビデンスが確立された。今後は胸腺の摘出方法,あるいは高齢者などについての適応の検討が待ち望まれる。

【文献】

1) N Engl J Med. 2017;376(21):2097.

2) Blalock A, et al:Ann Surg. 1939;110(4):544-61.

3) Keynes G:Lancet. 1954;266(6824):1197-202.

4) Calhoun RF, et al:Ann Surg. 1999;230(4):555-9.

5) Gronseth GS, et al:Neurology. 2000;55(1):7-15.

【解説】

多久和輝尚 兵庫医科大学呼吸器外科講師

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