小規模研究の結果から、PCI施行時の急性腎障害(AKI)抑制作用が期待されていた重炭酸ナトリウムとN-アセチルシステイン(NAC)だが、大規模ランダム化試験“PRESERVE”の結果、予後改善作用、AKI抑制作用とも認められず、試験は早期中止となった。Steven D.Weisbord氏(ピッツバーグ大学、米国)が、11日のLate Breakingセッションで報告した。
PRESERVE試験の対象は、推算糸球体濾過量(eGFR)が、糖尿病合併例では45~59.9mL/分/1.73m2、非合併例では15~44.9mL/分/1.73m2の、待機的PCIを施行した4993例である。これらは2×2デザインで、周術期の等張重炭酸ナトリウム溶液静注群と生理食塩水静注群、NAC服用群とプラセボ服用群にランダム化され、二重盲検法で追跡された。5177例が登録された時点で 事前設定中間解析が行われ、重炭酸ナトリウム、NAC、いずれの比較においても対照群と有意差が生じないことが確実となり、試験は早期中止となった。
1次評価項目である「死亡・重度腎機能低下(透析導入、または血清クレアチニン2倍化)」のオッズ比は、重炭酸ナトリウム群で0.93(95%CI:0.72-1.22]、NAC群で1.02(95%CI:0.78-1.33](いずれもvs.対照群)で、有意差とはならなかった。
また2次評価項目とされた「造影剤関連AKI」オッズ比も、重炭酸ナトリウム群で1.16(95%CI:0.96-1.41)、MAC群で1.06 [95%CI:0.87-1.28]で、やはり対照群と有意差は認められなかった。
「重炭酸ナトリウムよりも、生理食塩水を優先すべきだ。またNACは使うべきではない」とWeisbord氏は結論した。本研究は同日、NEJM誌にも掲載された。