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17年度は赤字病院が微減も人件費は高騰【日病が調査結果を公表】

登録日: 2017-11-01

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日本病院会は10月31日、「2017年度診療報酬等に関する定期調査」の中間集計結果の概要を公表した。前年同月比較では、経常利益で赤字病院の占める割合が61.4%から54.9%へと減少したものの、依然として半数以上が赤字であることが分かった。

本調査は日病が、病院経営における診療報酬改定の影響を検証し、会員病院の運営に資することを目的とするもの。主な調査項目は、16年6月と17年6月の医業損益や延患者数、診療行為別点数などの前年比となっている。調査票を配布した2437病院のうち有効回答数は657病院だった。

■外来は延患者数減も単価が上昇

医業損益では、医業以外の収益を含む経常利益の比較で、赤字病院が61.4%から54.9%へと減少。医業利益の比較でも赤字病院は68.2%から62.8%へ減少した。稼働100床当たりの医業損益については、全体で医業収益が1.3%増、医業費用が1.2%増となり、赤字幅がわずかに縮小した。医業費用の内訳では、 給与費が1.6%増と最も伸びが大きかった。

延患者数では、入院が対前年比0.82%増となった一方、外来は0.90%減となった。病床規模別で見ると、100床以上の病院で延患者数が減少した病院の割合が増加しており、特に「200~299床」では2.55%減となった。

診療行為別点数で特徴的だったのは、外来の単価が前年比で1.33%上がっている点。結果について島弘志副会長は、「延患者数は減少しているが、抗がん剤などの治療が増えたことで単価を引き上げていると考えられる。その裏付けとして、『注射』が(9.63%)増加している」と分析した。

損益の状況について、日病の診療報酬検討委員会の永易卓氏は、「経営状態が改善しているように見えるが、6月を調査対象としているため、診療報酬改定年度(16年)については4月の改定への対応が十分できていない病院が多い」と指摘。その上で、「『入院料等』が増えていることから各病院が救急医療管理加算などの施設基準等を満たす経営努力をした結果ではないか」との見方を示した。

「わずかな改善が見られるが、半数以上が赤字経営であり厳しい状況に変わりはない」と述べる島氏

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