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全国多施設調査から見た膵石症の取り扱い【ESWLは低侵襲だが再発率が高い。他の治療と組み合わせることで治療成績の向上を得た】

No.4880 (2017年11月04日発行) P.54

鈴木 裕 (杏林大学消化器・一般外科講師)

杉山政則 (杏林大学消化器・一般外科教授)

登録日: 2017-11-02

最終更新日: 2017-10-31

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膵石症は,膵液のうっ帯や膵管内圧上昇による疼痛発現の原因となり,時に難治性となる。わが国でも大規模な多施設調査が施行されている。

Inuiらの1990~2002年の体外衝撃波結石破砕術(ESWL)施行例555例/11施設の調査1)では,ESWLの結石破砕率は92.4%,結石消失率は72.6%,症状消失率は91.1%であった。35例に合併症を認め,急性膵炎が最多であった。再発は24.2%に認め,4.4%が手術に移行した。膵機能の改善は外分泌で38%,内分泌で24.3%に認めた。

その後,01~05年の膵石症例916例/36施設に対し調査解析を行った2)。治療はESWLが479例(ESWL単独202例),内視鏡治療単独例が83例,外科治療が135例に施行された。ESWL単独の治療効果は,結石破砕率は92%と良好であるが,結石消失は49%と不良であった。しかし,他の治療と組み合わせると結石消失率は74%と向上し,症状消失率はいずれの治療も90%以上であった。ESWLの結石再発率は22.5%で,内視鏡治療(12%)と外科手術(1.5%)よりも有意に高い結果であった。外科手術はESWLや内視鏡治療で完全切石が得られない場合を適応とすべきとしている。

ESWLは内視鏡治療などのほかの治療と組み合わせることにより治療成績の向上が得られていた。現在,新たな全国多施設調査が行われ,これまで以上に多数例の解析が行われている。この結果の報告が待たれるところである。

【文献】

1) Inui K, et al:Pancreas. 2005;30(1):26-30.

2) Suzuki Y, et al:Pancreas. 2013;42(4):584-8.

【解説】

鈴木 裕*1,杉山政則*2  *1杏林大学消化器・一般外科講師 *2同教授

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