厚生労働省は10月25日、「医師需給分科会」(片峰茂座長)で、医学部入学枠に関する見直しの方向性を示し、概ね了承を得た。医師数が少ない都道府県の知事が大学に対し、現行の地域枠とは別に「地元出身者枠」(用語解説)の設定・拡充を要請できる仕組みを設け、医師の地域定着率の向上を図る。
同省の調査によれば、地域枠卒業医師は臨床研修修了後も出身大学と同じ都道府県に定着して勤務する割合が80%前後と高く、地域枠以外の地元出身者(大学と出身地が同じ都道府県の者)も同程度の定着率となっている。
これを踏まえ同省は、地域枠についてはキャリア形成支援の充実などを図りつつ継続していく一方で、地元出身者枠も拡充していく必要があると明示。
医師偏在の度合いからみて、「医師数が少ない」と判断された場合には、知事が地域医療対策協議会の意見を聴いた上で、大学に対し入学枠への地元出身者枠の設定を要請する仕組みを設けるべきとした。さらに、地元出身者枠の拡充だけでは十分な医師確保ができない可能性を考慮し、他県出身の学生を地域枠で受け入れられるよう、医師数が多い都道府県の地域枠の一部を、医師が少ない都道府県の地域枠として活用する方針も示した。