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「遠隔看取りガイドラインは医師法20条の拡大解釈。1948年に施行された法律が、約70年ぶりに現代版にアレンジされた」 『遠隔看取りガイドライン』の実効性と課題 [長尾和宏の町医者で行こう!!(78)]

No.4877 (2017年10月14日発行) P.18

長尾和宏 (長尾クリニック院長)

登録日: 2017-10-16

最終更新日: 2017-10-11

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  • 遠隔看取りの要件

    9月12日、厚生労働省は医師が看護師との連携によりテレビ電話などの情報通信機器を活用して死亡診断を行うためのガイドライン(GL)を公表した。いわゆる「遠隔看取りGL」である。このGLの実効性と課題について町医者の立場から考える。

    医政局長通知が発出され、年度内にも遠隔看取りが可能になるという。これは政府が2016年6月に決定した「規制改革実施計画」に基づき、在宅での穏やかな看取りが困難な状況に対応するためのものだ。受診後24時間以上経過していても、以下の要件を全て満たす場合に限定して「遠隔看取り」を容認するという内容になっている。

    遠隔看取りGLは長文であるが、全ての医師が一読しておく必要がある。私なりにその要点をまとめると、①死期が近いと予想される患者が対象、②死亡前14日以内に医師による直接対面での診療が必要、③あらかじめ患者や家族の文書による同意を得ている、④医師と看護師の十分な連携が取れている、⑤医師による速やかな対面での死後診察が困難な状況(12時間以上を要する)、⑥実務経験5年以上(訪問看護は3年以上)で一定の教育を受けた看護師が死の三徴候などを確認、⑦テレビ電話などのICTを通じて医師が死亡を確認した時、看護師が死亡診断書を代筆してもよい、という内容である。特に死亡診断に関しては、死の三徴候などを5分以上の間隔を空けて2回確認することになっている。

    私が気づいたポイントを挙げておきたい。まず、このGLは離島やへき地に限ってはいない点である。私はてっきり無医離島や無医村のような場所に限った規則であると思っていた。しかし場所は問うておらず、たとえ大都市でも適用されると聞き驚いている。

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