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胎胞膨隆に対する治療的子宮頸管縫縮術【良好な予後を得るには術前の子宮内炎症の評価が重要】

No.4876 (2017年10月07日発行) P.55

三浦広志 (秋田大学産婦人科)

寺田幸弘 (秋田大学産婦人科教授)

登録日: 2017-10-09

最終更新日: 2017-10-03

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治療的子宮頸管縫縮術(以下,治療的縫縮術)は,流早産時期に子宮頸管熟化を認めた妊婦に対して施行される頸管縫縮術である。頸管熟化は子宮頸管無力症に起因することもあるが,時に炎症所見の明らかではない子宮内炎症が原因となりうる。この両者の鑑別は,母体血中炎症物質(白血球数,CRP)を評価するだけでは困難なことが多い。

胎胞膨隆例においては,治療的縫縮術を施行することで妊娠延長が図れるとされている1)。羊水中物質(糖および顆粒球エラスターゼ)にて事前に子宮内炎症を評価することで,治療的縫縮術後の妊娠継続期間が予測できるとする報告もあるが,軽度でも子宮内炎症があると有意に妊娠継続期間が短い結果であった2)

また,子宮内炎症症例への治療的縫縮術は,炎症に起因する胎児の合併症増加の原因となりうる。周産期死亡例で羊水中のサイトカイン高値が多いという報告3)もあるため,治療的縫縮術の良好な周産期予後を得るには術前の子宮内炎症の評価が重要である。

【文献】

1) 日本産科婦人科学会, 他, 編:産婦人科診療ガイドライン─産科編2017. 日本産科婦人科学会, 2017, p147-51.

2) Hatakeyama Y, et al:Acta Obstet Gynecol Scand. 2016;95(10):1136-42.

3) Park JC, et al:Am J Reprod Immunol. 2011;66(4):310-9.

【解説】

三浦広志*1,寺田幸弘*2 *1秋田大学産婦人科 *2同教授

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