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「労働法制と応召義務の均衡点を探っていきたい」(武田俊彦 厚生労働省医政局長)【この人に聞きたい】医師の働き方改革と地域医療

No.4875 (2017年09月30日発行) P.8

武田俊彦 (厚生労働省医政局長)

登録日: 2017-09-29

最終更新日: 2017-10-26

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  • 働き方改革、偏在対策、地域医療構想、新専門医制度
    地域医療確保には全てがうまく回る必要がある
    労働法制と応召義務の均衡点を探っていきたい

    〔略歴〕1983年東大法学部卒。同年厚生省入省。2012年消防庁審議官、14年厚生労働省大臣官房審議官(医療保険)、15年政策統括官(社会保障)、16年医薬・生活衛生局長、17年7月より現職

    医師の働き方を巡る議論が本格化している。8月に設置された厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」の事務局を務める医政局の武田俊彦局長に聞いた。

    ─今年3月に政府が策定した「働き方改革実行計画」では医師について、「時間外労働規制の対象とするが、応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要」として、2年後をメドに規制のあり方について結論を得ることとなっています。どう議論を進めていきますか。

    実行計画では、日本経済再生に向けて最大のチャレンジは働き方改革であるとの指摘がなされ、国を挙げて改革が進められています。働き方の問題の1つに長時間労働があり、特に長時間労働が多い医師にも働き方の改革が求められているのは当然と言えます。

    ただ、医師の長時間労働にはさまざまな背景があります。正当な事由がなければ患者からの求めを拒んではならないという医師の応召義務のほかにも、手術途中で離れることができないなどの医療固有の問題がありますし、さらに、医師は日々進歩する医療に関する知識や技術を習得するための自己研鑽が常に求められます。元日本医師会長の武見太郎先生は「医療は医学の社会的適応」という言葉を残されていますが、それこそが医師の特殊性だと思います。医学の進歩をキャッチアップして臨床に使うことは医師の本来的な責務であるという特殊性を踏まえて議論することが必要です。医師が疲弊しないような勤務環境をつくることは医療安全の観点からも大事。働き方改革は、患者さんを守るためでもあります。

    検討会には、医療界のみならず労働法学者も参画しています。開業医等一部を除き、医師も労働法制が適用される労働者であることを前提に、論点については制限せず精力的に議論を尽くしていただき、年明けに中間まとめ、2019年3月までに最終まとめを行う予定です。

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