株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【他科への手紙】耳鼻咽喉科→心療内科

No.4875 (2017年09月30日発行) P.51

田口亜紀 (松山赤十字病院耳鼻咽喉科)

登録日: 2017-09-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 私は嗄声を主訴に受診される患者を専門に診療しています。特に音声障害の患者に対し、声の衛生指導や訓練を通じて発声の習慣や方法を変えることによって、声の改善をはかる「音声治療」というリハビリテーションを中心に治療しております。そこで今回は、耳鼻咽喉科医からの観点で「心因性失声症」という疾患について、音声外来で実際に行っている診察や治療を心療内科の先生方にお伝えいたします。

    心因性失声症は、思春期から30歳以前の若い女性に多い疾患です。最近の報告では15歳以下の小児に増加する傾向があると言われています。問診では特別な誘因がなく、突然に起こる失声を主訴に受診されます。ほとんどの場合、ささやき声で話すことはできます。口だけは動かしますが、ささやき声さえも出さない患者やまったく意図的に発声しようとしない方もおられます。実際には心因性の発症要因が存在しますが、本人は認識できていないことが多いと言われています。

    私の経験から、心因的な原因としては、失恋、学校や職場でのいじめ、身内の不幸、家庭内暴力などが多い印象を受けます。東日本大震災をきっかけに発症した大学生もおられました。失声は意図的な発声に限られるので、ほとんどの患者さんで咳払いやあくびをさせると有響音が出ます。

    残り587文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top