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アルブミン尿は脳を見る“窓”である:CKDと認知機能障害【アルブミン尿増量に伴う認知機能の低下が示され,予測指標として期待される】

No.4875 (2017年09月30日発行) P.52

柏原直樹 (川崎医科大学腎臓・高血圧内科主任教授)

登録日: 2017-09-27

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慢性腎臓病(CKD)は心血管病と関係するだけでなく,認知機能障害とも関連する。CKDは2つの要件,アルブミン尿・蛋白尿の検出またはeGFR 60mL/分/1.73m2未満で定義される。この2要件は独立して認知機能障害と関連する1)

腎機能の低下に従い,認知症リスクが増大することは以前より示されていた。CKDに合併する脳血管障害,高血圧,酸化ストレスなどが関与する。透析患者では脳萎縮合併率も高い。

少量であってもアルブミン尿が認知機能障害と関連することが示されている。システマティックレビューの結果が報告された2)。アルブミン尿は,認知機能障害(オッズ比1.37),認知症(同1.35),アルツハイマー型認知症(同1.37),血管性認知症(同1.96)リスクと関連することが示された。全般的認知機能,遂行能力,言語流暢性はアルブミン尿増量とともに低下し,一方,ワーキングメモリ,視空間能力は保持されていた。アルブミン尿の増量とともに,これらの認知機能が低下することも示されている。

アルブミン尿は全身の微小血管障害を反映している。ゆえに,認知機能障害とも関連すると考えられる。アルブミン尿は認知症リスクの予測指標となり,アルブミン尿を指標として生活習慣の適正化,合併疾患(糖尿病,高血圧など)を治療することの意義が示された。

【文献】

1) 柏原直樹:日医師会誌. 2015;143(11):2350-4.

2) Georgakis MK, et al:J Am Geriatr Soc. 2017;65 (6):1190-8.

【解説】

柏原直樹 川崎医科大学腎臓・高血圧内科主任教授

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