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救急医療におけるメディカルコントロールとは?【医学的な質を保障する取り組み。救急救命士への実習・教育や搬送先病院・搬送手段の選定などを行う】

No.4875 (2017年09月30日発行) P.63

田邉晴山 (救急振興財団救急救命東京研修所教授)

登録日: 2017-10-01

最終更新日: 2017-09-26

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  • 救急救命士が行える処置の範囲が拡大され,その技能を担保するために,メディカルコントロール(medical control:MC)が行われていると聞きます。そもそもMCとはどのような制度(概念)なのでしょうか。その歴史的背景もご教示下さい。救急救命士には現在どのような医療行為が許可されているのかも併せてご教示下さい。

    (岐阜県 K)



    【回答】

    (1)メディカルコントロールの概念

    メディカルコントロール(MC)という言葉は,「医学的な質を保障する取り組み」という意味で,主に救急医療の領域で多く使われています。2000年頃,米国から入ってきた言葉,概念であり,当初は救急救命士等が救急の現場で行う処置を対象として,その質を保障する取り組みをMCと呼んでいました。具体的な例としては,医師が救急救命士等に携帯電話などによって処置に関する指示や助言を与えたり,実施された処置を医師が事後に検証したり,病院で救急救命士等に処置の実習・教育を行ったりすることなどがMCに当たります。

    近年では,MCの対象が拡大しており,消防機関による救急車の搬送先病院の選定,搬送手段の選定(救急車か,ドクターヘリか)等にまで拡がっていて,さらには,消防機関の活動のみならず,救急医療機関による救急車の受け入れ体制などにも及んでいます。MCの体制を整備するために,今では全国に47の都道府県MC協議会と,その下に地域MC協議会(1~10程度/県)が設置されています。

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