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チオプリンによる重篤な白血球減少を予測する【NUDT15遺伝子多型を用いた治療層別化】

No.4874 (2017年09月23日発行) P.50

西田淳史 (滋賀医科大学消化器内科)

安藤 朗 (滋賀医科大学消化器内科教授)

登録日: 2017-09-20

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チオプリン製剤(アザチオプリン,6-MP)は潰瘍性大腸炎(UC)のステロイド依存症例,およびクローン病(CD)の寛解維持治療の選択として重要な薬剤である。しかし,使用中に白血球減少,肝障害,嘔気などの副作用が生じ,使用継続が困難となる例が存在する。中でも白血球減少症は,発生すると重症となり,入院加療が必要となる場合もある。さらに,欧米人と比較して,日本人ではチオプリン関連白血球減少症の発生率が非常に高いことも知られており,欧米での投与量よりも低用量での使用が推奨されている。最近,NUDT15遺伝子多型とチオプリン誘発性白血球減少との関連性が報告されている。

当科通院中で,チオプリン製剤による治療を受けている炎症性腸疾患患者161例(UC:89例,CD:72例)を対象としてNUDT15遺伝子R139C多型とチオプリン関連白血球減少症の関連性を検討した1)。マイナーアレル頻度は,NUDT15が10%であった。チオプリン関連白血球減少症と各遺伝子多型との関連を多変量解析で検討したところ,NUDT15 mutantのみが有意な相関を認めた(OR:5.86,95%CI:2.50~13.60,P=3.91×10−5)。また,リスクホモ症例では,全例で完全脱毛が認められた。

以上から,NUDT15遺伝子多型をチオプリン製剤投与前に調べることで,重度のチオプリン関連白血球減少症および完全脱毛が回避できるため,早期の臨床応用が期待されている。

【文献】

1) Asada A, et al:J Gastroenterol. 2016;51(1):22-9.

【解説】

西田淳史*1,安藤 朗*2 *1滋賀医科大学消化器内科 *2同教授

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