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ポドサイト障害の研究は進歩しているのでしょうか? 【ポドサイト足突起のネフリン分子発見後,論文数は急増し膜性腎症の抗原を特定】

No.4873 (2017年09月16日発行) P.58

乳原善文 (虎の門病院腎センター内科リウマチ膠原病科部長)

原 正則 (新潟県労働衛生医学協会岩室健康増進センター)

登録日: 2017-09-13

最終更新日: 2017-09-12

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  • 腎障害の病態の中で,ポドサイト障害は大切な分野であるが不明な点も多く未知の分野でした。今後この研究は臨床応用にもつながる大切な領域です。これまでも多くのポドサイト障害の研究と診療にあたってこられた岩室健康増進センター・原 正則先生にポドサイト研究の進歩とその効果・影響について解説して頂ければと思います。

    【質問者】

    乳原善文 虎の門病院腎センター内科リウマチ膠原病科 部長


    【回答】

    ポドサイトに関する研究論文は,1970~1980年代は年間20編以下でした。この数が少しずつ増加するのは1990年代に入ってからです。1990年代にKrizらが糸球体硬化に至るプロセスにポドサイトが重要であることを形態学的に明らかにし,さらに糸球体のポドサイト足突起に存在するネフリン分子が発見されたことがその後のポドサイト研究発展の端緒となったと著者は考えています。その後,論文数は年々急増し,最近では年間600編を超える数の研究発表がなされるようになりました。こうしたポドサイト研究の進歩に伴い,糸球体腎炎(障害)の首座は,メサンギウム細胞からポドサイトであると考えられるようになってきました。

    以下,ポドサイト研究の概要を列記します。

    (1)糸球体硬化のプロセス

    糸球体がどのようにして硬化していくかの機序について,近年ではポドサイト障害に起因すると考える研究者が多いようです。

    (2)podocyturia

    尿中にポドサイトが脱落していることが明らかとなり,その後の尿バイオマーカー研究のパイオニアになりました。

    (3)ネフリン,ポドシンの発見

    ポドサイトに発現する分子の異常と病気との関連を明らかにするmolecular podocytologyの発端をつくりました。

    (4)podocytopenia

    糸球体からポドサイトが失われること(podocytopenia)が糸球体障害の進展に重要であることが明らかになってきました。

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