『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版』が4年ぶりに改訂され,2015年7月に発刊された。
診断基準では,従来は既存脆弱性骨折があれば骨粗鬆症と診断されていたが,椎体骨折や大腿骨近位部骨折では骨折リスクが3~6倍と高いため,改訂版では別格扱いとされた。また,骨密度のカットオフ値も,従来は若年成人平均(YAM)値70%未満としていたが,国際基準との整合性を図り,YAM値70%以下,もしくはTスコアが−2.5SD以下と,標準偏差の表記も併記することとなった。
薬物治療に関しては,薬剤評価が従来の「推奨度」から「有効性の評価」に変更された。これは,エビデンスの有無が必ずしも薬剤の有効性を表しているとは限らないためであり,各薬剤の有害事象や症例の背景などを考慮し,臨床的に薬剤を選択することが重要である。
新規薬剤としてはテリパラチド,イバンドロン酸,抗RANKL抗体デノスマブが追加された。その後の新薬としては,骨吸収を抑制しながら骨形成を低下させないため大きく期待されていたカテプシンK阻害薬は,副作用のため開発が中止された。
高骨代謝回転である閉経後骨粗鬆症には,ビスホスホネート製剤,選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM),抗RANKL抗体などの骨吸収抑制薬が第一選択薬とされることが多いが,更年期障害の治療を要する閉経前後の女性には,乳癌や血栓症に注意しつつ,適切に開始すればホルモン補充療法も有効な骨粗鬆症治療・予防薬である。
【解説】
駒井 幹*1,牛嶋公生*2 *1久留米大学産婦人科講師 *2同主任教授