株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

副腎クリーゼを含む副腎皮質機能低下症の診断と治療に関する指針 2014【具体的数値による診断目安やステロイド補充量を提示】

No.4872 (2017年09月09日発行) P.51

南 悠季子 (慶應義塾大学腎臓・内分泌・代謝内科)

横田健一 (慶應義塾大学腎臓・内分泌・代謝内科)

伊藤 裕 (慶應義塾大学腎臓・内分泌・代謝内科教授)

登録日: 2017-09-08

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2014年に「副腎クリーゼを含む副腎皮質機能低下症の診断と治療に関する指針」1)が作成された。副腎不全は臨床経験や観察に基づくエビデンスが主体で,プラセボ群を設定したランダム化比較試験に基づくようなエビデンスはきわめて少ないとされるが,北欧を中心にした疫学研究からステロイド過剰投与に伴う様々な弊害が報告されるようになり,より至適な補充療法をめざす考え方が浸透しつつある。

本ガイドラインでは,実地臨床医が日常診療で参考とするための具体的数値による診断目安やステロイド補充量を提示している。たとえば,慢性副腎不全患者に対するステロイドの生理的補充量として,健常人におけるコルチゾール分泌量5~10mg/m2/日に相当するヒドロコルチゾン10~20mg/日の補充を推奨している。そのほか,具体的に周術期や急性副腎不全時,妊娠中の副腎不全症患者に対するヒドロコルチゾンの補充量の目安やシックデイの対応,ヒドロコルチゾンと薬物相互作用をきたす薬剤情報等を提示するとともに,小児科での課題としてフッ化ステロイドの胎児移行や口蓋裂の問題等にも言及している。近年,免疫チェックポイント阻害薬の普及に伴い,副作用として続発性副腎皮質機能低下症の報告が急増している。今後,これまで以上に多くの科で副腎不全を経験する頻度は高くなると考えられ,本ガイドラインを実臨床に活かしていく必要がある。

【文献】

1) 日本内分泌学会:日内分泌会誌. 2015;91(Suppl): 1-78.

【解説】

南 悠季子*1,横田健一*1,伊藤 裕*2  *1慶應義塾大学腎臓・内分泌・代謝内科 *2同教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top