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カタトニア(緊張病)【近年,診断概念が広がり,発達障害や身体疾患などとの関連が論じられるようになった】

No.4870 (2017年08月26日発行) P.53

萩原徹也 (信州大学精神医学)

鷲塚伸介 (信州大学精神医学教授)

登録日: 2017-08-24

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カタトニア(緊張病)は従来,統合失調症の一形態と考えられていたが,統合失調症以外の様々な病態においても出現することが広く認識されるようになり,今世紀に入って診断上の位置づけや治療が大きく変化している。DSM-5(2013年)においてはカタトニアの新たな診断基準が設けられ,種々の精神・身体疾患の診断名に付加する形で診断することが可能となった。診断概念が広がったことにより,カタトニアと発達障害や種々の身体疾患などとの関連が論じられるようになっている。悪性症候群,パーキンソン症候群,せん妄,てんかん,種々の薬物の離脱症状,心身への強い侵襲などがカタトニアに関与することが指摘されている。最近のトピックとしては,抗NMDA受容体脳炎において高頻度でみられること,救急現場そのほかの精神科以外の診療の場でも稀ならず遭遇することなどが指摘されている。

治療に関しては,抗精神病薬の投与はカタトニア症状を増悪させ悪性症候群を誘発するリスクがあることから,近年では基礎となる病態を問わず,ベンゾジアゼピン系薬剤(ないしはその類似薬)の投与や,修正型電気痙攣療法が推奨されている。他方,統合失調症を基盤とするカタトニアの場合には,抗精神病薬が有効な場合があることも改めて指摘されている。メマンチンやアマンタジンなどNMDA受容体拮抗薬の有効性を示唆する報告もあり,薬物療法に関してはベンゾジアゼピン系薬剤以外の選択肢も模索されている。

【解説】

萩原徹也*1,鷲塚伸介*2 *1信州大学精神医学 *2同教授

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