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喘息治療に難渋したら【本当に重症喘息か再検討することも重要】

No.4870 (2017年08月26日発行) P.50

一ノ瀬正和 (東北大学呼吸器内科教授)

登録日: 2017-08-22

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喘息患者の救急外来受診や入院,さらには喘息死の減少が示すように,喘息の治療効率は大きく向上してきている。この要因として,1つは吸入ステロイド(inhaled corticosteroids:ICS)の薬効やデバイス改良に加え,長時間作用性気管支拡張薬の登場といった治療薬の進歩が挙げられる。さらには,日本アレルギー学会刊行の『喘息予防・管理ガイドライン2015』1)による,疾患概念や治療法の情報発信も寄与していると考えられる。

しかし,十分な治療でもコントロール困難な喘息患者も存在する。ちなみに,先のガイドラインではそういった喘息患者を「難治性喘息/重症喘息」と呼び,「コントロールに高用量ICSおよび長時間作用性気管支拡張薬,経口ステロイド,抗IgE抗体の投与を要する喘息,またはこれらの治療でもコントロール不能な喘息」と定義している。

こういった重症喘息の診療では,抗IL-5抗体や気管支温熱療法などの重症喘息に対する新しい治療オプションの追加も一案であるが,その前に立ち止まって,患者の再検討をすることも必要である1)。声帯機能不全のような他疾患の除外,喫煙によるステロイド抵抗性の有無,さらには吸入手技の確認などを行って,患者を「偽重症喘息」にしていないかをチェックすることは必須である。特に,吸入指導に関しては,実際に目の前で吸入動作を再現してもらうと,吸入デバイスの操作ミスや吸気不十分例にたびたび遭遇するので,ぜひ励行して頂きたい。

【文献】

1)「喘息予防・管理ガイドライン2015」作成委員会:喘息予防・管理ガイドライン2015. 協和企画, 2015.

【解説】

一ノ瀬正和 東北大学呼吸器内科教授

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