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“セミ”とり[エッセイ]

No.4869 (2017年08月19日発行) P.72

中田一郎 (白十字総合病院外科)

登録日: 2017-08-20

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  • 夏、早朝から夜遅くまで“セミ”の鳴き声がやかましい。この時期に関東地方で最もよく聞かれるのは“アブラゼミ”の声である。“ジーイジーイ、ジーイジーイ、ジーイジーイ”と。私は、このアブラゼミの鳴き声を聞き、“サルスベリ”の花を見ると蒸し暑い日本の夏を感じる。

    ところで最近、夏にセミを追いかける子どもたちを見かけなくなった。近所にある広い公園も閑散としている。昆虫採集は生命愛護の精神に反するのか? または、親が暑い日にテレビで頻繁に警告している熱中症を恐れているのだろうか? はたまた紫外線を恐れて? よく考えてみると、やはり子どもの数が少なくなっているのが原因のようだ。1947(昭和22)年、第一次ベビーブームの頃ではわが国の年間出生数は250万人以上であったが、最近では100万人を切ったと言う。出生数は半分以下だ。特に高齢化した団地内では子どもたちはさらに少ない。

    夏の移り変わりに聞かれるセミの声について思い出してみよう。まず、最も早く6月終わり頃から現れ、8月中旬頃まで聞かれるニイニイゼミの鳴き声。“チ、チ、チ、チー、チ、チ、チ、チー”と鳴く小型のセミである。

    次にアブラゼミ。この声は7月から9月頃まで聞かれる最も多いセミである。同時に鳴き声が聞かれるのは、羽の透明なミンミンゼミとクマゼミである。それぞれ“ミーンミンミンミンミー、ミーンミンミンミンミー”、そして“シャシャシャー、シャシャシャー”や“センセンセンセン”などと聞こえる。

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