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小児緩和ケア【生命を脅かす疾患を抱えて生活する子どもと家族に対して行われる全人的サポート】

No.4869 (2017年08月19日発行) P.56

余谷暢之 (国立成育医療研究センター総合診療部 緩和ケア科医長)

登録日: 2017-08-18

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高度医療の発展により,多くの病が治癒できるようになってきた一方で,残念ながら治癒が叶わず,生命を脅かす疾患に罹患しながら生活をする子どもたちが増えてきている。小児緩和ケアは,生命を脅かす疾患を抱えて生活する子どもと家族に対して行われ,診断時から看取り,そしてその後まで続く人生を全人的に支え,子どものQOLの向上と家族のサポートをめざす取り組みである。

全世界では,700万人の子どもたちが小児緩和ケアの恩恵を受けているとされている。英国をはじめとする欧州では,専門的な小児緩和ケアサービスが標準的に行われているが,わが国では2012年11月に淀川キリスト教病院がこどもホスピスを開設し,16年10月に国立成育医療研究センターで緩和ケア科が設置されるなど,小児緩和ケアへの取り組みが始まったところである。

小児緩和ケアには,大きくわけて以下の4つの要素が含まれている。①意思決定支援を行い,子どもと家族のQOLの向上をめざす,②症状緩和,③療養先の選定,④家族支援。
緩和ケアを受けた子どもと家族は,残された時間をより楽しく,価値あるものとして過ごすことができるとの報告もある。

医療の目的が治癒をめざすことであることは言うまでもないことであるが,治療中であれ,治癒が見込めない状況になったときでさえも,子どもと家族の生活,人生,生命を支える医療の形を追求すること,それが小児緩和ケアの神髄である。

【解説】

余谷暢之 国立成育医療研究センター総合診療部 緩和ケア科医長

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