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先天性横隔膜ヘルニア【多種多様な術後合併症をきたすため,長期的なフォローが必要】

No.4869 (2017年08月19日発行) P.54

照井慶太 (千葉大学小児外科講師)

吉田英生 (千葉大学小児外科教授)

登録日: 2017-08-16

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先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は予後不良な疾患であったが,各種治療の進歩により生命予後は改善されてきた。しかし一方で,術後に様々な合併症を引き起こし,長期経過の中で問題となることも明らかになってきた。新生児CDH研究グループが施行した全国調査および長期フォロー研究の結果から,長期合併症に関する最新の知見について述べる。

CDHの再発は12%に認められ,術後半年前後に多く,肝の脱出が危険因子であった。再発例の14%に再々発がみられ,最終的に筋肉弁を用いた修復が行われることが多い。在宅での呼吸補助は生存例の9%に必要で,その約半数は長期化していた。成長障害が約20%にみられ,特に在宅酸素投与が必要な症例は呼吸努力による熱量消費が多く,栄養管理に特別の配慮が必要である。胃食道逆流症は自然軽快する症例と最終的に手術が必要な症例とが混在しており,手術適応の判断が重要である。神経学的合併症・発達遅延を呈することが少なくなく,積極的な神経学的評価と介入が重要である。難聴は,ほかに合併症のない児の約10%に単独で発生しうる。

以上より,CDHは術後に多種多様な合併症をきたし,退院後に顕在化してくるものもあるため,長期的なフォローがきわめて重要である。

【参考】

▶ 臼井規朗:平成25年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「胎児・新生児肺低形成の診断・治療実態に関する調査研究」総括・分担研究報告書. 2014.

【解説】

照井慶太*1,吉田英生*2 *1千葉大学小児外科講師 *2同教授

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