株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【他科への手紙】救急科→全科

No.4869 (2017年08月19日発行) P.51

森野一真 (山形県立救命救急センター副所長/山形県立中央病院副院長・救急科)

登録日: 2017-08-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 本来、当コラムは1つの科への手紙ですが、災害時のご協力のお願いと医療資源配分の難しさをお伝えしたく、「全科への手紙」となりますことをお許し下さい。

    お住いの地域の30年以内の地震発生確率を、皆さんはご存知ですか?私の地域は0から7%、「なーんだ、大した確率ではないな」とつぶやきたくなります。でも油断は禁物。30年間に交通事故で負傷する確率は約20%、死亡する確率は約0.2%とされます。日常的に交通事故死をニュースで目にしますよね。地震の発生確率はそれらと同程度、あるいはそれ以上です。

    さて、ひとたび災害が起きれば、傷病者が多数、一気に発生し、緊急対応に追われます。「そこは救急科の出番だろ」という声が聞こえそうですが、我々の普段の対象は1名、多くて数名です。これを超えたらお手上げです。というわけで、どうか全科協力体制でお願いします。

    災害時は現有の医療資源配分、たとえば医師や看護師の配置、薬剤処方や検査の制限、果ては電力制限、搬送手段の確保に患者割り当てに行き先と搬送順位まで調整しないと、資源の枯渇や不適切な資源分配につながりかねません。「それは医者の仕事じゃねえ」とのご意見があるかもしれませんが、病態を知らぬ者の調整は危険です。

    残り622文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top