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第134回ドイツ外科学会に出席して─その発表を通じて感じたこと[エッセイ]

No.4868 (2017年08月12日発行) P.68

岡田昌義 (日本血管内治療学会理事長)

登録日: 2017-08-13

最終更新日: 2017-08-07

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  • 2017年3月21~24日の4日間、第134回ドイツ外科学会がミュンヘンで開催された。その頃はまだまだ寒く、道行く人はコートに身を包んでいた。会長は、ホンブルクにあるザールラント大学災害外科のTim Pohlemann教授で、今までは定年間近の人が会長になっていたが、今年初めて60歳以下の若手の教授が会長になった。例年であれば、日本の5月の連休中に開催される学会だが、会長が日本の第117回日本外科学会(4月27~29日)に出席するため、今年はいつもよりも早く開催された。この教授は、われわれの目から見ても学問的にやり手で、今年の日本外科学会会頭の桑野博行教授からも、私に日本での特別講演(Polytrauma care in Germany)の司会をやってほしいという連絡が後日入った。

    第134回ドイツ外科学会は、朝8時30分から始まり、夕刻18時30分~19時に終わるようなプログラムとなっていた。また、昼休みの12~13時30分は昼食時間で、学会員たちはこの間、各会社のブースによって異なるハム、ソーセージ、パンケーキなどと、ビールやコーヒー、ジュースなどを注文して簡単に腹ごしらえをしていた。

    第1日目の18時より、一番大きな部屋で管楽器の音楽とともに開会式が始まった。まず、会長の開会宣言(図1)があり、厚生大臣、ドイツ医師会会長、消化器外科学会会長、小児外科学会会長などが順番に挨拶した。次いで、Pohlemann教授による30分の挨拶の後、昨年2016年の1年間に亡くなった方への黙禱が始まった。その後、3名の名誉会員の推薦があった。2人がドイツ人で、もう1人は南アフリカからの教授であった。いずれも立派な経歴の人であった。前の2人からはドイツ語、後の1人からは英語による挨拶があった。

       

    その後、Langenbeck賞、Rudorf Zenker賞、K.H.Bauer賞、Félicien-Steichen賞、Karl-Storz 賞、Edgar-Ungeheuer賞などの授与式があった。これらの賞は伝統的なもので、賞金は1500~1万5000オイロと金額にはかなり差が見られるが、受賞した人にとっては本当に名誉であり、今後も精進しなければならないものだろうと感じた。このようなことは外科学会として、今後も続けて頂きたいものだ。

    さて、今回の学会長は以下の3つのスローガンを立てた。すなわち、Verantworten(責任を持つ)、Vertrauen(信頼)、Sicherheit(安全性)である。今や世界における多くの学会では、特に詳細な治療面での安全性に焦点が当てられている。

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