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改正道路交通法と認知症【免許更新時などの検査で認知症のおそれありとされた場合,医師の診断書が必要になることがある】

No.4867 (2017年08月05日発行) P.63

荻原朋美 (信州大学地域精神医療学)

鷲塚伸介 (信州大学精神医学教授)

登録日: 2017-08-03

最終更新日: 2017-08-01

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改正道路交通法が,2017年3月12日より施行された。75歳以上の高齢運転者が,信号無視,通行区分違反(逆走や歩道の通行など)など18種類の違反をした場合に行われる臨時の認知機能検査および免許更新時に行われる認知機能検査で,認知症のおそれあり(第1分類)とされた場合には,都道府県公安委員会が臨時適性検査(専門医による診断)または医師の診断書の提出を命じることができるようになった。医師の診断で認知症とされた場合には,都道府県公安委員会による免許取り消しまたは停止の対象となる。

第1回高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議によれば,新制度下では,5万人以上が第1分類とされ,そのうち自主返納等をする者等を除いても,約5万人が医療機関を受診すると予測されている。日本医師会からは,「かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き」1)が,日本認知症学会などの関連5学会からは,「認知症高齢者の自動車運転に関する専門医のためのQ&A集」2)が公表されている。身体機能が低下した高齢者にとっては,自動車は生活上欠かせないものとなっている。認知症高齢者の生活の質を確保しつつ,社会の安全を守る取り組みがよりいっそう重要になる。

【文献】

1) 日本医師会:かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き. 2017.
[http://www.med.or.jp/doctor/report/004984.html]

2) 日本認知症学会, 他:認知症高齢者の自動車運転に関する専門医のためのQ&A集. 2017.
[http://dementia.umin.jp/pdf/road_qa.pdf]

【解説】

荻原朋美*1,鷲塚伸介*2 *1信州大学地域精神医療学 *2信州大学精神医学教授

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